Gold Plum
第六章
対峙
〜みのり&涼介の場合〜
六
IG
「良かった。側近さんたちがいてくれて」
ほっとしたように告げる野木崎へ小越が応じる。
「本当にそうですね」
深く同意する小越たちの声は聞こえているだろうか。
確認する間もなく、みのりが再び声を発した。
「黄金梅の種を植えたときは、
私のように獣人を思っている人なんていないと思っていました。
だけど、実際は違っていました。
獣人と人間の共存を望んでいる人が、私が思うよりもたくさんいたんです。
そのことを知ることができただけでも黄金梅を実らせようとして
良かったと思います」
みのりがおもむろに口を閉ざす。
すべてを伝え切ったのだろう。横から見る彼女の瞳は澄んでいた。
(美都子様、お願いだ。彼女の願いを受けとめてくれ)
願いとともに美都子へ視線を移すと、美都子が深く長い溜め息を吐いた。
「みのり……あなた変わったわね」
疲れた声音で美都子が言葉を発する。
だが、不思議と絶望しているようにも、激昂しているようにも見えなかった。
(諦めた……わけでもなさそうだな……)
厳しい顔は緩めることなくみのりを見返す美都子を窺いながら、
涼介は仄かに漂う柔らかな空気に戸惑いを覚えた。
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