Gold Plum





第六章


対峙


〜みのり&涼介の場合〜





AI




「ふーん……」

「……なるほど……」


 面白くなさそうに腕を組む高松の隣で、市長が感心したように

涼介を見つめていた。


(何がなるほどなのかしら?)


 みのりが内心で首をひねっていると、美都子が身じろいだ。

意識を母へ戻す。


「……あなたの考えはわかりました」


 眉間に皺を寄せながらも言われた言葉に、みのりは瞳を輝かせる。


「それじゃあ」

「ただし条件があります」


 美都子は、はしゃごうとする自分の動きを止めさせるように

手のひらを前へ出した。

みのりは前へ踏み出そうとしていた足を止める。


「えー」


 つま先に力を入れバランスを取っていると、太一が不満気な声を

出した。しかし美都子はそんな声など聞こえていないかのように、

話を続ける。


「このまま儀式を続けるというのなら、

梅宮みのり個人としてではなく次期当主を継ぐ意思を

持っておやりなさい。それが条件です」


 やはり一筋縄ではいかない人だ。だが、それでこそだ、とも思う。

でなければ、自分たちの仲はこんなにもこじれていなかったはずだ。


(さすがお母様ね)


 みのりは感情に流されない母の姿に、改めて尊敬の念を抱いた。










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