Gold Plum





第六章


対峙


〜みのり&涼介の場合〜





AIA




(ふふふ。先生ったら)


 自分のことのように悲しんでくれる小越を見て、胸が

暖かくなった。彼女だけではない。他の人たちも、自分の幸せを

当然のように考えてくれている。それが何よりもうれしかった。


「みのりさん……」


 心配気な表情で涼介から名前を呼ばれる。

だがその瞳は、何があっても一緒にいる。そう語っているようで。

みのりは、美都子の顔を見据えた。


「……わかりました」

「決めたんだな……」


 涼介が手を握ってきた。

みのりは美都子からいったん視線をずらし、彼を見る。


「……うん。だって、涼介も手伝ってくれるんでしょ?」


 肩を竦め冗談めかすと、涼介から間髪入れずに答えが返ってくる。


「もちろん! 君がそう望んでくれるならね」

「だったら大丈夫。1人だったら無理かもしれないって思うけど、

涼介が隣にいてくれるなら」

「いるよ。ずっと」


 涼介から満面の笑みで了承を口にした。

それが何よりも嬉しいことだと、彼は知っているのだろうか。

みのりは、自然と口元を緩めた。

おもむろに美都子が割って入る。


「みのりさん、わたくしはその言葉を信じますからね」

「はい」


 みのりは、真偽を確かめるような母の眼差しから

逃げることなく首肯した。










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