Gold Plum





第六章


対峙


〜みのり&涼介の場合〜





IIIIF




「……確かに」


 涼介の声のあとしばらく無言が続く。それを了承と取ったのだろう。

碧が満足げに頷く姿が、ミラー越しに映った。


「皆さんの賛同をいただいたようなので、実行に移しますよ。

さあ、口を閉じてくださいね」

「へ?! へ?!」

「はい。よろしくお願いします!」


 戸惑う飛田とは裏腹に、涼介がしっかりと前を見据え

シートベルトを両手で握り締める。みのりもそれに倣い、

胸元にかかっているシートベルトを掴んだ。

紅が小さく頷くのと同じタイミングで、車体が片方に傾いた。

外から一斉にクラクションが鳴り響く。


(ごめんなさーい)


 みのりが心の中で謝罪をしていると、前方の信号が赤へと変わる。

しかし、碧は交通規則を守るつもりがないようだ。

そのまま減速することなく交差点を通過した。それでも後ろからは

ぴったりと狸とパトカーが追いかけてきている。

碧もそれをわかっているのだろう。

速度を落とさず、右折、左折を何度も繰り返した。


「むぐぐぐぐぐぐっ!」


 みんなを代表するかのように、飛田の唸り声が車内に広がる。

何度目かの信号無視を最後に、みのりは耳をそばだてた。

あれだけけたたましく鳴り響いていたサイレンの音がいつの間にか

なくなっていた。










一つ前を読む   GPの部屋に戻る   次を読む