Gold Plum





第六章


対峙


〜みのり&涼介の場合〜





AIF




 だが、背中を向けて立ちはだかる美都子の存在が、市長への文句を

止めさせる。


(お母様が私を守ろうとするなんて……)


 嬉しかった。

身を挺して高松から庇おうとしてくれた美都子の行為に、

みのりは瞳を潤ませる。

 次期当主として必要な人間だから助けたという理由だけでは、

自らを盾になどしないはずだ。

てっきり口から出まかせだと思っていたが、母にちゃんと愛されて

いるのかもしれない。今なお、退こうとしない美都子の顔を後ろから

覗き見ながらそんなことを考えていると、山波の声が聞こえてくる。


「坊ちゃんもやるときはやるんだなあ」


 感心したような山波の呟きに、芽衣子が鼻を鳴らす。


「何言ってるのよ。飛田君だってやる時はやるわよ」

「芽衣子ちゃん……!」


 山波父子と飛田によって和やかになりつつ空気を壊すかのように

高松が暴れ出す。


「同情はいらない! 欲しいのはその願いを叶える力だ!」

「高松! いい加減にしろ!」


 市長が、涼介の拘束から抜け出そうとする高松を諌めた。


「俺は自由を手に入れる! そのほうがみんなのためになるんだ!」


 今の高松には誰の声も聞こえていないのだろうか。

頬を地べたにつけながらも喚く高松を市長が困惑気味に

見つめていた。










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