Gold Plum





第六章


対峙


〜みのり&涼介の場合〜





BI




「やってみなければわからないだろう! いいからどけ!」


 土に爪を立て起き上がろうとする高松の頭を、涼介は押さえつける。


「そう言われても『はい、そうですか』とは言えません」


 肘に力を入れると、高松が呻く。

痛ましげな声をあげたのは小越だった。


「高松室長……」


 哀れんでいるようにも、戸惑っているようにも感じられる声音だ。


(まあ、こうなったらどっちでもいいけどさ)


 涼介は高松が身動きできぬようさらに地面に押しつける。


「ぐっ!」


 苦しげな声をあげる高松を見て、小越がためらいがちに口を開いた。


「高松室長……。もうやめてください。高松室長」


 胸に手をあて高松へ呼びかける。

そんな小越の声に、高松が反応した。


「麻里君……」


 高松の声に初めて迷いの色が滲む。


(あれ? どうしたんだ?)


 何故かはわからないが、一瞬だけ高松の抵抗が緩んだ。

やっと観念してくれたのだろうか。

高松は憑き物が落ちたかのように小越をひたすら見つめていた。










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