Gold Plum
第六章
対峙
〜みのり&涼介の場合〜
六
BI@
(本当にどうしたんだ?
小越さんの言うことだけは聞くってことなのか?)
この小柄な女性のどこにそんな力があるのかわからないが。
涼介は高松を見下ろす小越を改めて検分する。
小柄で少しぽっちゃりとした女性。
きれいとは言えないがかわいらしい。
だが、その顔が今苦悩に歪んでいる。
少しばかり嫌悪さえ抱いているかのようにも感じられた。
(この人が高松さんを説得してくれるのか?)
できるのだろうか。こんなのほほんとした女性に。
(野木崎さんのほうが適任な気がするけど)
だが野木崎は面識のない人間にあれこれ言う人ではないだろうから、
無理な話ではある。
(どうしたものかな……)
碧に言って縛ってもらうしかないか。
思って碧を振り仰いだ時だ。
高松が拳を地面に叩きつけた。
「くっ! こうなれば最後の手段だ。――でてこい! お前たち!」
林のほうへ向かい高松が叫ぶ。
同時にがさがさと木々の揺れる音がして、涼介は目を瞠った。
「もう、今度はなんなのよぉー」
野木崎がうんざりしたような声をあげる。
涼介は野木崎の声を聞きながら、茂みの中から飛び出てきた影に目を凝らした。
一つ前を読む GPの部屋に戻る 次を読む
|