Gold Plum
第六章
対峙
〜みのり&涼介の場合〜
六
BIC
「無駄だとは思いますがね……」
市長がやる気なさ気に肩を竦める。それでもこちらの意見を
聞いてくれるらしい。
美都子を守るように前へ進み、3人の獣人たちを見据えた。
「おい、お前たち、これはお前たちが抵抗してもまったく意味の
ないことだ。やめたまえ」
市長がきっぱりと言い切った。しかし彼の考えは当たっていた
ようだ。案の定、獣人たちは市長の説得に耳を傾けることは
なかった。それどころか青いTシャツの獣人は苛立ちをあらわに
怒鳴り出す。
「そんな言葉にだまされるか! 黄梅は俺たちの物だ!
これからは獣人が人を支配する時代なんだ!」
唾を飛沫させながら喚く獣人に、碧が心底嬉しそうな笑みを浮かべ
市長を見る。
「はて? 市長という肩書は名誉職ではないはずですがね」
(こんなときに何をやっているのよ碧は……)
みのりは緊張感のない側近に内心でため息をついた。次の瞬間、
バシッと叩くような音がする。
「おっと、お嬢様とご当主様に近づかないでもらえますか?」
どうやら白いシャツの獣人が隙をついてこちらへ近づこうと
していたらしい。碧に叩かれた腕を摩りながら白いシャツの男が
後ずさった。
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