Gold Plum





第六章


対峙


〜みのり&涼介の場合〜





BID




「お嬢さま、守る、わたし」

「そうと言われて『はい、そうですか』と言えるかよ! ふん!

いいさ。まとめて片付けてやる!」


 紅が白いシャツの男の前に踊り出た。白いシャツの男は紅を

睨みつけながら、後ろの大男に合図した。

しかし大男は紅の姿に目を丸くし、動こうとしない。


「お前……。同胞なのか?」

(同胞? もしかしてこの大きい人、猪の獣人なの)


 猪と分かるような姿になっていなかったので気がつかなかった。


(初めて会った猪の獣人が敵側なんて……)


 紅の気持ちを思うと胸が痛んだ。みのりは紅の表情を確認する。

しかし彼女は、なんら表情を変えていなかった。


「同胞? 関係ない。主、お嬢さまだけ」

(紅……)


 紅の忠臣ぶりに、みのりの心は申しわけなさと嬉しさで

いっぱいになる。だが大男にとっては怒りを募らせるもの

だったみたいだ。


「同胞のくせに人間の娘を守ろうというのか!」


 拳を震わせながら叫ぶ大男に、碧が鼻で笑う。


「何を言っているのですか? 紅は僕の家族ですよ。

勝手に同胞などとくくらないで貰いたいですね」

「義兄さん……」


 紅が碧へちらりと顔を向ける。その表情は一見すると、何も変化

していないように見えるが、みのりには紅が喜んでいるのがわかった。










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