Gold Plum
第六章
対峙
〜みのり&涼介の場合〜
六
BIG
「市長殿、統率力はないようですが盾くらいにはなれるでしょう?
美都子様とお嬢様にそちらの方々を近づけさせないでくださいね」
碧が嫌味たっぷりに雅秋へ要求すると、
雅秋が苛ついたような声で答えた。
「言われなくてもわかってるさ」
「おい! 俺に当てるなよ!」
高松が顔をあげて銃を向けている男へ向かい叫んだ。
自分が招いた事態だというのに、保身だけは一人前な男だ。
(こんなのでも身内……なんだよなあ……)
美都子のような貫禄があるわけではないが、
諦めのなさと頑なさは血筋と言ってもいいのかもしれない。
「お前はここで黙って見ていろ!」
涼介は高松の背中をさらに押さえ込む。
少しでも気を抜けば立ち上がってしまうかもしれない。
そう思えるほどに高松の力は強かった。
「坊主! 俺から離れるなよ!」
斜め後ろのほうで声が聞こえる。
「う、うん」
視線を向けると太一が山波にしがみつくのが見えた。
「高松さん、素直に負けを認めて、獣人たちを止めてください」
みのりが高松に語りかける。だが、高松が心を打たれた様子はなかった。
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