Gold Plum
第六章
対峙
〜みのり&涼介の場合〜
六
CI
みのりは銃声の音に、頭を抱えるように耳を塞いだ。
瞬間的につぶった瞼を開け、辺りの様子を窺う。
(怪我をした人は……いないようね)
耳鳴りのせいで聞こえづらいが、みんな無事のようだ。
(良かった)
みのりはホッと胸をなで下ろした。そこへ飛田の声が
聞こえてくる。
「……たっちゃん? たっちゃんだよね?」
こちらに背中を向けているせいかもしれないが、まだ耳が
銃声のせいで正常ではないのだろう。
飛田の声がひどく遠くから発せられたように感じた。
それでも届いてきた言葉に、みのりは首をかしげる。
(たっちゃん?)
「ま、正志! なんでお前が人間なんかと?!」
みのりは声がした方へ視線をやった。
そこには小刻みに震わせた指先を飛田へ向ける男がいた。
(飛田さんの知り合いってことは獣人なのかしら?)
彼らの動向を観察していると、斜め前に立っている野木崎が
突然頭をかき乱し始める。
「もう次から次へとなんなのよ!」
「ずいぶん騒がしくなったマロね」
みのりが野木崎の意見に内心で同意していると、
端の方へ避難した雪姫が呑気に口を挟んできた。
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