Gold Plum





第六章


対峙


〜みのり&涼介の場合〜





CIA




「はい。数学の先生……のはずなんです……けど……」


 小越は野木崎に肩を揺すられ、困惑気味に言葉を濁した。

そして、説明を求めるかのようにちらちら横澤を見ている。

みのりが固唾を呑み背後から窺っていると、飛田の声が

聞こえてくる。


「たっちゃん、この人は僕の婚約者だよ。失礼じゃないか」


 いつの間にか耳鳴りも元に戻っていた。

大声で責めて立てる飛田に負けないくらいの甲高い声が周囲に

響き渡る。


「数学の先生がなんでこんなところにいるのよ?

ていうか、ここにいるってことはあの高松って人の仲間って

ことじゃない?」


 野木崎の指摘に小越が前へ出た。


「そうなんですか? 横澤先生!」

「そうですよ。ずっと貴女を監視させてもらってました」


 あっさりと肯定する横澤の返答に野木崎が頓狂な声を出す。


「えぇ! 監視! あなた監視されたの?」

「私も今知りました」


 野木崎の質問に小越が肩を落とした。

よほどショックだったのだろう。同僚だと思っていた相手に

監視されていたのだから無理もない。

みのりが内心で同情していると、うな垂れていた小越の顔が

勢いよくあがった。










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