Gold Plum





第六章


対峙


〜みのり&涼介の場合〜





CIC




「おじちゃん、鹿のお兄ちゃんの従弟さんだって」


太一の無邪気な声が聞こえる。

場違いなほど明るいその声音とは反対に、

怒声をあげたのは山波だった。


「飛田の従弟がなんでこんなとこにいるんだ! おい! 飛田! 説明しろ!」

「いや、僕にも何がなんだか……」


 怒りにまかせて捲し立てる山波の斜め前で、飛田が頭を掻いた。


(へえ、飛田さんのこと、「角」って言わないんだ……)


 そんな場合ではないのは百も承知の上で、

涼介は山波の変化に感心してしまった。


(ってことは、もう2人は公認ってことか)


 うらやましい。

涼介は小さく吐息する。

もちろんあれだけ反対されていた2人が結ばれるのは、

めでたいことだとは思うけれど。

まだ返事ももらえてない身である自分からすれば、

できあがってる2人を見るのは少しばかり辛くもある。

涼介は低くうなり声をあげている高松を尻に敷きながら、

みのりの横顔を窺おうと仰ぎ見る。


と、それを遮るように野木崎の声があがった。


「あなた、本当に何も知らされてなかったのね……」


 視線を移せば、

野木崎が憐れんだ眼差しを小越へと向けているのが目に入る。


「そ、そんな目で見ないでくださいよー」


 情けない声をあげた小越はがっくりと肩を落とした。










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