Gold Plum
第六章
対峙
〜みのり&涼介の場合〜
一
IIIIH
「それでここはどこなの? もう涼介の家は近いの?」
問いかけてくるみのりに、涼介は目を瞬かせる。
辺りを確認すると、見慣れた風景が広がっていた。
「逃げ回ってただけだと思ってたのにもう自宅に着いちゃうや」
郵便局の先にある黒塀を目視しつつ呟くと、
みのりが目を見開く。
「え? もう涼介の家が近いの?」
みのりの問いに、涼介は首肯した。
「もうすぐそこだよ。
ほら、あの黒い屋根の平屋だよ。黒塀さんの裏側の家」
以前顔合わせをした料亭、
黒塀の手前にある黒い瓦屋根を指し示す。
「本当だわ。よかった」
ほっとしたようにシートへ身体を沈めるみのりを見て、
涼介はああ、と同意した。
「でも、ここからが本番だよ」
これから何が起こるのか、自分でも皆目見当がつかない。
無事に善郎を説得することができるのだろうか。
(いや、そんなこと言ってる場合じゃない。
なんとかしなくちゃならないんだ)
涼介は深く呼吸を整え、前方の我が家を見つめた。
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