Gold Plum





第六章


対峙


〜みのり&涼介の場合〜





CIE




「く、熊?! え? え?!」


 無言のまま横澤が獣人化した。


(あの人も獣人だったのか!)


 てっきり高松と同じ思想の人間なのだと思っていた。

これはまずいことになった。

涼介は臍を噛む。

獣人と化した横澤の姿は、ダークブラウンの長い毛をした熊だ。

言わずと知れた猛獣である。


(このままじゃあの2人が危ない!)


 そしてそのまま突進されれば太一や山波、みのりにまでも危険が及ぶ。


(どうする!)


 判断を迷っている内にも話は進んでいく。


「獣人! 彼って獣人だったの、麻里さん?」

「し、知りません! 知りません!」


 焦りの滲む野木崎の声に反応してか、小越の声も恐怖が滲んでいた。

そんな中、一際のんびりとした声があがった。


「うわぁー。ぼく、熊の人見たの初めてー」

「そうか? たまにいるぞ。危ないから気をつけろよ、坊主」


 好奇心の塊といった風情の太一を、山波がやんわりと諫める。

その声が合図だったのだろうか。横澤が再び口火を切った。


「さようなら、小越先生」


 一気に小越へと間合いを詰め、腕を振りあげる。


「きゃあ!!」


 小越の悲鳴があがった。

だが、振り下ろされた爪が彼女を切り裂くその瞬間、影が走った。










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