Gold Plum
第六章
対峙
〜みのり&涼介の場合〜
六
CIG
小越たちの会話に注視していると、おもむろに碧が愚痴をこぼす。
「ハァ。僕は厄介な代物を持っているあちらの狸さんの対応しないと
いけないので失礼しますね」
「はい! すみませんがよろしくお願いします」
高松を押さえている涼介が側近へ声をかけた。
みのりが視線をそちらへやると、碧が白いシャツを着た狸のみぞおちを
強打しているところだった。
(さすが碧ね)
横澤たちの乱入でこちら側にいる敵のことを一瞬忘れていたのだが
問題はないようだ。
みのりが内心で感心していると、碧が涼介へ顔を向ける。
「涼介君は引き続きその男をお願いしますね」
「はい!」
涼介が碧の指示に嬉しそうに返事をした。
高松を押さえている腕に力を込めたのだろう。高松のうめき声が
聞こえてきた。その声に満足したのか、碧が小さく頷く。
そして目線を紅へと移す。
「紅は、猪さんを頼みますよ」
「わかった」
紅が猪と対峙したまま首肯した。
(あんな大きな獣人に紅一人で大丈夫なのかしら?)
だが、自分が動いたとしても足手まといになるだけだ。
みのりは自身の力のなさに歯噛みした。
一つ前を読む GPの部屋に戻る 次を読む
|