Gold Plum
第六章
対峙
〜みのり&涼介の場合〜
六
DI
(銃を持ってる相手を蹴りだけで倒すなんて……)
碧ならば大丈夫だとは思っていた。しかしこうもあっさりと
敵を倒してしまうとは思っていなかった。
みのりは、あっという間の出来事にまばたきを繰り返す。
「大丈夫ですか? 碧さん」
高松を押さえつけているせいで涼介からは碧が蹲っているように
見えているのかもしれない。心配気な声音を碧へ向けた。
だがそれに対し碧は、あっ気らかんと応える。
「問題ありませんよ」
碧は狸を背中に乗り、狸の腕を交差させていた。
顔をしたたかに打ちつけていたから失神しているのかもしれない。
みのりは、ピクリとも動こうとしない狸の獣人が心配になった。
涼介が、自分が考えていたことを代弁するように碧へ尋ねる。
「死んでませんよ……ね?」
「獣人さんは強いですからね。この程度では死にませんよ」
碧は涼介の問いに軽い口調で返しながら、ポケットから
結束バンドを取り出す。そして狸の腕を縛り上げた。
「そうですか。そうですよね」
安堵するように頷く涼介を尻目にみのりは紅を見た。
一つ前を読む GPの部屋に戻る 次を読む
|