Gold Plum





第六章


対峙


〜みのり&涼介の場合〜





DIA




「さすが僕の紅です」

「強いとは思ってたけどこれほどとは……」


 碧の自慢げな声を聞きながら、

まったく危なげのない紅を見て涼介は目を見開いた。

高松を尻に敷いていなければ拍手していたかもしれない。


「あんなに強かったのね……」


 みのりの声に近づいてきた紅が首をかしげる。


「お嬢さま?」

「すごいわ、紅!」


 手放しに褒めるみのりに対し、紅が嬉しそうの頬を染めた。


(あれ? なんだろう……)


 何故かちょっと面白くない。

なんとなく見ていたくなくて視線を逸らすと、碧が目に入った。

青狸の上半身を縛りあげ、飛んで行った銃を拾いあげる。

青シャツ姿の狸が恨めしげな声をあげた。


「お……ぼえてろ……よ……。そのうち長が! 長が!」


 気を失っていなかったのか。


(やっぱり獣人って頑丈なんだな)


 変なところに感心していると、碧が肩を竦める。


「おや、もう意識を取り戻してしまったのですか。

縛っておいて正解でしたね」

「ちくしょう!」


 唇を噛み締める青シャツの狸に、碧がずかずかと近づいた。


「少し静かにしてくださいね」


 遠慮もなしに狸の背中を踏みつける。

思った以上に強い刺激だったのだろう。

盛大な悲鳴が聞こえてきた。










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