Gold Plum
第六章
対峙
〜みのり&涼介の場合〜
六
DIB
「イテッー!」
青シャツの狸のわめきを聞き、横澤が大きく舌打ちした。
「ち、あっちはやられたか。
……それでも長、あいつらは、俺たちは本気です。
人間の女にうつつをぬかすなんて。考え直してください」
どうやら獣人の長である満を説得するつもりでいるらしい。
(無理そうだけどなあ)
よほどの決意を秘めてこの場に現れたのだろうことは、
後ろ姿からも見てとれる。
だからと言ってすぐ納得してくれる横澤でもなさそうだが。
前途多難だ、と涼介は吐息した。
「……お前たちにはすまないと思っている」
沈んだ声で語りだしたのは満のほうだった。
だが、その態度がさらなる怒りを呼んだらしい。
「すまない? すまないと思っているならその女をこちらに渡してください」
怒りのままに唸る横澤の声に対し、いち早く反応したのは太一だった。
「狼のお兄さんはぼくたちの味方をしてくれるんだね、おじちゃん」
のんきに山波へ尋ねる。
「そうみたいだな。以前は襲いかかってくるような奴だったが……」
山波が顎へ手をあてつつ答えると、太一が微笑んだ。
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