Gold Plum





第六章


対峙


〜みのり&涼介の場合〜





DIE




 みのりは野木崎の奇声に眉を寄せた。

だが一番の被害者は、彼女のすぐそばにいる太一と山波だろう。

そちらへ目を向けると、案の定太一が、耳に指を入れていた。


「おばちゃん、声大きすぎだよ」

「あら、ごめんなさいね」


 太一に半目で見据えられ野木崎も我に返ったようだ。

口元へ手をあて、取り繕った笑みで誤魔化していた。

それを見ていた山波が呆れを多分に含ませ嘆息する。


「これだから女ってやつはなあ〜」


 性別だけで一括りされたくはないが、野木崎のはしゃぎたく

なる気持ちもわからなくはない。自分だって涼介に告白された

あとの心情は野木崎とそう変わりはなかった。それどころか

彼女以上に舞い上がっていたと思う。


(まあ私は野木崎さんと違って表には出さなかったけど)


 みのりは、太一へ平謝りしている野木崎を眺めながら苦笑した。

そこへ籠った音の拍手と高笑いする声が聞こえてくる。

それは熊となった横澤の鳴らしたものだった。

一見すると、サーカスに出てくるような愛らしい動きだが

小越を見つめる眼差しを獰猛な獣そのものだった。










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