Gold Plum
第六章
対峙
〜みのり&涼介の場合〜
六
DIH
(横澤先生って高松さんを尊敬しているのね)
今の彼からは見る影もないが、横澤の瞳には自分たちの知らない
高松の姿が映っているのだろう。
人によって他者への捉え方が異なる。それをみのりは黄金梅を
咲かせるために家出したおかげで気づくことができた。
(涼介と市長だってそうだったし、お母様のことだって)
自分の気持ちを正直にぶつけ合ったからこそ、相手の気持ちを
知ることができた。
(横沢先生と高松さんともきちんと向き合って話し合えば……)
「わ、私ってそんなにドジですか?」
小越が囁くように発した声は、静まり返っていたせいもあり
よく響いた。みのりはその声に思考を止める。
(え? 先生って自分がドジだって気づいてなかったの?)
きっと小越以外の面々は自分と同じ気持ちだったに違いない。
一斉に小越へ視線が集中した。
耳が痛くなるほどの沈黙の中を気まずさだけが漂う。
みのりは小越から視線を逸らし、辺りを見回した。すると野木崎が
先陣を切るかのように声をあげる。
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