Gold Plum
第六章
対峙
〜みのり&涼介の場合〜
六
EIE
「俺と、同じ……」
満と横澤との間に見えない壁があるように、横澤は立ち尽くしたまま
高松と満を交互に見ていた。
熊の獣人であるはずなのに、みのりにはその姿が迷子の
子供のように見えた。
そんな彼を見て何か思うことがあったのかもしれない。
小越だけを見つめていた満が、横澤へ顔を向ける。
「それにな、そこのおっさんが言うには人は変わることが
できるんだとよ。
人間にできて俺らにできねーなんてことはねーだろう」
「長……」
肩を竦め、冗談交じりに話す満の声は優しく。
横澤は羨望の眼差しを向けていた。
この2人はもう大丈夫だ。みのりはなんとなくそう確信した。
それは周りに伝わっていたみたいだ。
野木崎が山波の腕を肘でつつく。
「へぇー山波さんが、満君にそんなことを」
野木崎の指摘に山波が咳払いをしながらそっぽを向いた。
背後からは彼の顔色は見ないが、耳が真っ赤になっている。
照れているのだろうか、それとも機嫌を損ねてしまったのだろうか。
みのりがハラハラしながら山波を見ていると、太一が嬉しそうに
野木崎へ笑みを向けた。
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