Gold Plum
第六章
対峙
〜みのり&涼介の場合〜
六
FI@
(な!)
雅秋さえも止めきれないあの速さと攻撃。
それも相手は大の男である。
なのに、美都子は一切怯むことなくその攻撃を止めてみせた。
(なんてこった!)
奥歯を噛み締め苦悶の表情を浮かべている美都子を見ながら、
涼介はなんとか2人の肩を掴むことに成功した。
「美都子様! みのりさん!」
「お母様!」
叫んで高松から美都子を引きはがそうとするみのりの前に滑り込み、
みのりを無理やり下がらせた。
「ぐっ! どけ! お前には用はない!」
怒りに燃えた目で睨みつける高松へ対し、
美都子が能面のような顔で応対する。
「なりません。あなたの、相手はわたくしが!」
言葉だけが苛烈に響き、涼介は唾を飲み込んだ。
「どけ!」
高松が唸り声をあげる。
「私のことよりお母様を早く!」
母親を助けたいのだろう。
その気持ちは自分にもよくわかる。
自分も雅秋が側にいる。
もし彼に被害が及んだら自分も同じように取り乱す気がして、
臍を噛んだ。
「みのりさん……」
一体どうしたら、迷って走らせた視線の先に碧がいた。
一つ前を読む GPの部屋に戻る 次を読む
|