Gold Plum
第六章
対峙
〜みのり&涼介の場合〜
六
FIA
(碧さん!)
迷いを目で訴えると、碧が悠然と頷いた。
(わかりました)
やはりここは動くべきではないのだ。
涼介頷き返し、みのりへ向き直る。
「駄目だ。ここをどくことはできない。今は美都子様に任せるんだ」
なるべく平静な声を意識して告げると、みのりがでも、と
今にも泣きだしそうな顔をした。
「お母様の手が」
みのりの言葉が胸に刺さる。
だが、身を挺してみのりを護った美都子の意志を無駄にしてはならない。
「君のお母さんを信じるんだ」
素手で高松の刃を受け止めた美都子ならば、
高松の狂気に負けたりなどしない。
その意を込めてみのりを見つめると、みのりが表情を改めた。
「お母様を……」
ゆるゆると美都子を見つめる。
それから、またこちらへ視線を戻した。
(大丈夫だ!)
無言のまま見あげてくるみのりに、涼介は力強く頷いてみせる。
しばらく瞬きを繰り返していたみのりの瞳に、精気が宿った。
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