Gold Plum





第六章


対峙


〜みのり&涼介の場合〜





FIB




 涼介に勇気づけられたものの、やはり母の白い肌を流れ続ける血を

見るとどうしようもない焦燥感に駆られる。


(大丈夫。お母様はこんなことで負けるような人じゃないわ)


 みのりは自身にそう言い聞かせた。だが、落ち着きかけた気持ちを

波立たせるかのように野木崎が喚き出す。


「あわわわ、ま、麻里さん、あなたの上司でしょう!」

「わ、わかりました! じゃ、じゃあ、行ってみます!」


 言うや否や、小越がヒールへ手をかけた。

みのりは、ためらいもなくヒールを脱ぎ出す小越の姿に既視感を抱く。


(もしかして先生また、そのヒールで戦おうとしているの?)


 野木崎救出の際に狸の獣人たちと戦ったときのことを思い出し、

ゾッとした。


(あんな無謀なことは絶対させられないわ!)


 今にもこちらへ駆けてきそうな小越を止めようと口を開く。

しかし、その前に満が小越の肩を掴んだ。


「麻里待て。お前がいくなら俺が」

「でも満さん……」


 不服そうではあるが、小越の足が止まった。

猪突猛進のきらいがある彼女でも、好きな相手の言うことには耳を

傾けるらしい。みのりは、内心で胸をなで下ろした。










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