Gold Plum





第六章


対峙


〜みのり&涼介の場合〜





FIC




 おもむろに、山波と太一を挟んだ向こう側から芽衣子と飛田の

会話が聞こえてくる。


「と、飛田君。どうしよう……」

「今は動かないほうがいいと思うよ。芽衣子ちゃん」

(さすが飛田さんだわ! 先生とは違う)


 草食動物の獣人だからだろうか。

周囲を窺うことに長けているのかもしれない。

みのりは、恋人を宥める飛田に感心した。

だが、芽衣子は納得できないようだ。


「で、でも……」


 微かに声を震わせ、こちらへ顔を向けた。

ナイフを掴んだままでいる母の姿を見ているのだろう。


(芽衣子さんの気持ちは嬉しいけど、今は耐えて!)


 みのりは視線で訴えたが、彼女と目が合うことはなかった。

しかしそこへ、芽衣子たちの会話をぶった切るように野木崎の声が

響き渡る。


「そ、そうよ。満くんの言う通りよ。だいたいなんであなたは、

言葉で説得しようとしないですぐに立ち向かおうとするのよ。

そこはまず話し合いからでしょう」

「話し合いって言っても……。室長凶器を持ってるじゃないですか」


 野木崎が小越を諌めるが、小越はこたえていないようだ。

それどころか不満気に口を若干尖らせていた。










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