Gold Plum
第六章
対峙
〜みのり&涼介の場合〜
六
FIE
「おじちゃん。美都子様の手から血が出ちゃってるよ」
太一が山波の背後に隠れながら囁いた。
本来ならば太一にこんな場面を見せてはいけない。
それなのに、子供である彼を争いの渦中に招いてしまった。
(まだ小学生なのに、ごめんなさい)
みのりが太一に対して申し訳なく思っていると、
山波が太一の頭をなでる。
「そうだな。だが今は動いちゃいかん。いいな、坊主」
「う、うん。わかった」
太一が言葉少なに首肯した。
山波が太一の視線を遮るように優しく自身の体へ太一の頭を
押しつける。皺ができるほど強く山波の服を握り締める太一に、
みのりは胸が痛んだ。
ふいに苛立ちを多分に含んだ野木崎の声が聞こえてくる。
「それがわかったら苦労しないわよ!
……あ、ちょっとそこのあなたあの人の部下なんでしょう。
彼を止めなさいよ」
「あの人の邪魔は、俺にはできない」
横澤が高松を見たあと、小さく首を横に振った。
そしてしょんぼりと肩を落とす。
「そんなー」
野木崎が横澤に同調するように、うな垂れた。
そんな中、何か思うことがあったのだろうか。
満が無言のまま横澤を見つめていた。
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