Gold Plum





第六章


対峙


〜みのり&涼介の場合〜





FIF




(横澤先生でも駄目なら、どうやって高松さんを説得すれば

いいのよ)


 こうしている間にも美都子の傷はひどくなるばかりだ。

みのりは唇を噛みしめた。


「ええっと、100当番、100当番……」


 ふいに聞こえてきた飛田の声にみのりはぎょっとする。

見ると、飛田がスマートフォンを取り出し、タップするところだった。

しかし手が震えているせいで、上手く操作ができないみたいだ。


(ここで警察なんて呼ばれては困るわ!)


 だがみのりが飛田を止める前に、傍観に徹していた梅田のみが

口を開く。


「ここは梅宮の土地ですから

たとえ警察の方でも一般の方はこれませんよ」

「そうマロ。ここは許可のある者しか入れないマロ」


 雪姫が梅田のみの肩で足を揺らしながら飛田を見つめた。


「え! そうなんですか!

ええっと、じゃ、じゃあ見てるしかないのか……」

「そうマロ。今いいところマロ。黙ってみるマロ」


 場違いな雪姫の発言に、飛田が小さく首をひねった。


「は、はあ……」

「わかり……ました……」


 良かった。雪姫の言動はどうかと思うが、警察を呼ばれることは

なくなった。

みのりが飛田と芽衣子の返答に安堵していると、美都子の声が

聞こえてくる。


「今なら何事もなかったことにします。だから引きなさい」

「ここまで来て引き下がれるものか! そこをどけ!

すべてを終わらせるんだ!」

「あなたの恨みは、この子には、みのりには関係のないことでしょう」


 美都子が、高松の怒気に怯むことなく言い返した。


(お母様)


 出血がさらにひどくなるのも構わず、美都子は一歩も引く様子を

見せない。そんな母の姿にみのりは瞳を潤ませた。










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