Gold Plum





第六章


対峙


〜みのり&涼介の場合〜





A




「みのりさんは雪姫じゃない! 雪姫ならあっちにいる!」


 涼介は怒りのままに雪姫と梅田のみを指し示す。

だが、高松の耳には入らなかったようだ。


「神話が具現化してる娘がいる。これは危険だ。

ますます自由が遠のいてしまう!」


 蕩々と己の主張を繰り広げる。

対する美都子は手から血を流しながらも冷静だった。


「具現化? やはりあなたはあの男の子供ですね」


 あの男? 涼介は首をかしげる。

高松もそれは同じだったらしい。深く眉根を寄せた。


「……何を……?」

「その表情も、偉そうな話し方も、あの男に良く似ています」


 美都子の顔が嫌悪に歪むのを見て、

高松の苛立ちがさらに深まったようだった。


「一体誰に似てるというんだ。意味がわからない。

そんな言葉で話を誤魔化すな!」


 地団駄を踏まんばかりの勢いで反論する高松を前に、

美都子が冷淡な視線を投げかける。


「誤魔化してなどおりません。

都合が悪くなると自分の良いように解釈して場を

かき回すところなんて虫唾が走るほどあの男、梅宮悟朗にそっくりです」


 美都子が告げたその名を聞き、涼介はあ、と小さく声をあげた。










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