Gold Plum
第六章
対峙
〜みのり&涼介の場合〜
七
A
「みのりさんは雪姫じゃない! 雪姫ならあっちにいる!」
涼介は怒りのままに雪姫と梅田のみを指し示す。
だが、高松の耳には入らなかったようだ。
「神話が具現化してる娘がいる。これは危険だ。
ますます自由が遠のいてしまう!」
蕩々と己の主張を繰り広げる。
対する美都子は手から血を流しながらも冷静だった。
「具現化? やはりあなたはあの男の子供ですね」
あの男? 涼介は首をかしげる。
高松もそれは同じだったらしい。深く眉根を寄せた。
「……何を……?」
「その表情も、偉そうな話し方も、あの男に良く似ています」
美都子の顔が嫌悪に歪むのを見て、
高松の苛立ちがさらに深まったようだった。
「一体誰に似てるというんだ。意味がわからない。
そんな言葉で話を誤魔化すな!」
地団駄を踏まんばかりの勢いで反論する高松を前に、
美都子が冷淡な視線を投げかける。
「誤魔化してなどおりません。
都合が悪くなると自分の良いように解釈して場を
かき回すところなんて虫唾が走るほどあの男、梅宮悟朗にそっくりです」
美都子が告げたその名を聞き、涼介はあ、と小さく声をあげた。
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