Gold Plum





第六章


対峙


〜みのり&涼介の場合〜





B




「梅宮悟朗? ああ、あんたの父親か。それがどうした。

意味のないことを言ってないでそこをどいてくれ」


 おざなりな返答をする高松に対し、美都子が目を細める。


「わたくしに父親はおりません。あの男はあなたの父親でしょう」


 断固とした口調の美都子の言葉を耳にするなり、

高松がいきり立った。


「俺にこそ父親なんていない!

俺は母の子供であって父親なんて知らない!」


 反論する高松を前に、美都子の顔が怒りで歪む。


「父親がいない? おかしなことをおっしゃるのね。

お母様とわたくしを裏切ったあともつながっていたくせに」


 吐き捨てるように告げる美都子を、高松がひたと見据えた。


「俺たちのところへは来ていない。あんたの記憶違いじゃないのか?

あんたのほうこそ両親の愛情を一身に受けて育ったはずだ。

俺たちの苦労も知らずに」


 侮蔑を含んだ声音に、美都子が非憎げな笑みを浮かべた。










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