Gold Plum
第六章
対峙
〜みのり&涼介の場合〜
七
B
「梅宮悟朗? ああ、あんたの父親か。それがどうした。
意味のないことを言ってないでそこをどいてくれ」
おざなりな返答をする高松に対し、美都子が目を細める。
「わたくしに父親はおりません。あの男はあなたの父親でしょう」
断固とした口調の美都子の言葉を耳にするなり、
高松がいきり立った。
「俺にこそ父親なんていない!
俺は母の子供であって父親なんて知らない!」
反論する高松を前に、美都子の顔が怒りで歪む。
「父親がいない? おかしなことをおっしゃるのね。
お母様とわたくしを裏切ったあともつながっていたくせに」
吐き捨てるように告げる美都子を、高松がひたと見据えた。
「俺たちのところへは来ていない。あんたの記憶違いじゃないのか?
あんたのほうこそ両親の愛情を一身に受けて育ったはずだ。
俺たちの苦労も知らずに」
侮蔑を含んだ声音に、美都子が非憎げな笑みを浮かべた。
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