Gold Plum





第六章


対峙


〜みのり&涼介の場合〜





I




「……母親……。あんたも母親か……。

母親を大切に思う気持ちは俺だってよく分かる。

だが俺にとっても自分の母親は大事なんだ。

あんただって分かるだろう。

俺は母親が無理して笑う姿をもう見たくない!」


 苛烈な視線を投げつける高松の顔を、美都子は見ていなかった。

俯いたまま、その場に佇んでいる。

まだ手から血はそれほど流れでてきてはいないが、

手を開いたが最後すぐさま噴きだしてくるだろう。


(時間がない!)


 それなのに、美都子は迷っている。


(一体どうしたら……)


 思案していると、背後からみのりが身を乗りだしてきた。


「お母様、私もそう思います。私はお母様のことを、

辛いことも悲しいことも感じない何でも完璧にこなす人だと思っていました。

だけど先ほどお母様の言葉を聞き、そうではないのだと知りました」

「みのり」


 美都子が顔をあげ、娘を振り返る。


「お母様が辛いのを我慢して当主をしているのなら私はお母様を支えたいです。

そして心からの笑顔が見たいです」


 みのりの言葉へ美都子の瞳が驚いたように見開かれた。

涼介はみのりへ頷き、自分も口を開いた。










一つ前を読む   GPの部屋に戻る   次を読む