Gold Plum
第六章
対峙
〜みのり&涼介の場合〜
七
I@
「美都子様。俺もみのりさんと同じ気持ちです。
あなたを思い苦しむみのりさんを見ているのは辛い。
心からの笑顔を見たい。
そんなみのりさんを隣で支えていきたいんです」
よく聞こえるようゆっくりした口調で告げると、
みのりが袖をぎゅっと掴んできた。
「涼介、ありがとう」
「みのりさん……」
涼介はみのりの手を握る。
大丈夫だ、ここにいる。そう愛しい少女に伝えたかった。
こうして見つめ合っていると、
目前の問題や腰の辺りの鋭い痛みさえもなんとかなるような気さえしてくる。
まるで誰かの手刀が入っているのだろうか。
ちらりと視線を向けると、紅の燃えるような瞳とぶつかった。
(……まあ、いいか……)
正直かがみ込みたくなるほどの痛みだが、
今はそんなことはどうでもいい。
涼介は改めてみのりを見遣る。
そうだ。今は他のことなんて問題じゃない。
そう思えるくらい、みのり澄んだ瞳をしていた。
「みのり……。あなたの言う通りね。
お母様からの遺言だからと言って人の人生を縛っていいはずはないのに……」
後ろから美都子の声がした。
疲れた声だったが、それ以上にどこかすっきりしたような声音だった。
「お母様……」
みのりの目が複雑そうに歪む。
嬉しさと悲しさがない交ぜなのだろう。
涼介は少しでもみのりの力になれるよう、さらに手を握り込んだ。
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