Gold Plum
第六章
対峙
〜みのり&涼介の場合〜
七
IA
「高松さん。
あなたのお母様を軟禁するようなことをしてしまい、申し訳なく思っています」
美都子が刃物を握り込んだまま、器用に頭を下げる。
そんなことをしては危険かもしれないのに。
(すごい人だな)
こんなこと、他の人間にできるだろうか。
少なくとも自分にはできそうもない。
刃を向けている相手に素直に謝罪するなんて。
高松はどう出るだろう。
注意して高松の様子を見つめていると、高松が声を低めた。
「謝って済むことだと思わないで欲しいな」
地を這うような声音は彼の怒りの強さを物語っている。
第2波が来るかもしれない。
小さく準備を整えている視線の先で、美都子が重々しく頷いた。
「ええ。それはもちろんわかっています。
きちんとあなたのお母様にも謝罪と慰謝料をお渡しするつもりよ」
「そんなことで俺の! いや、俺やあんたたちの呪縛が解かれるわけじゃない。
何故こんなにもこの地に囚われている? それはこの地に黄金梅があるからだ。
願いを叶える梅の木。そんなもの、ないほうがいい!
だから俺がすべてを失くしてやるんだ。そこをどけ! 姉さん!」
言うが早いか高松が美都子へ体重をかけていく。
やはり説得は無理か。
美都子が初めて痛みを訴え、涼介は慌てて前へ出ようと試みた。
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