Gold Plum





第六章


対峙


〜みのり&涼介の場合〜





IA




「高松さん。

あなたのお母様を軟禁するようなことをしてしまい、申し訳なく思っています」


 美都子が刃物を握り込んだまま、器用に頭を下げる。

そんなことをしては危険かもしれないのに。


(すごい人だな)


 こんなこと、他の人間にできるだろうか。

少なくとも自分にはできそうもない。

刃を向けている相手に素直に謝罪するなんて。

高松はどう出るだろう。

注意して高松の様子を見つめていると、高松が声を低めた。


「謝って済むことだと思わないで欲しいな」


 地を這うような声音は彼の怒りの強さを物語っている。

第2波が来るかもしれない。

小さく準備を整えている視線の先で、美都子が重々しく頷いた。


「ええ。それはもちろんわかっています。

きちんとあなたのお母様にも謝罪と慰謝料をお渡しするつもりよ」

「そんなことで俺の! いや、俺やあんたたちの呪縛が解かれるわけじゃない。

何故こんなにもこの地に囚われている? それはこの地に黄金梅があるからだ。

願いを叶える梅の木。そんなもの、ないほうがいい!

だから俺がすべてを失くしてやるんだ。そこをどけ! 姉さん!」


 言うが早いか高松が美都子へ体重をかけていく。

やはり説得は無理か。

美都子が初めて痛みを訴え、涼介は慌てて前へ出ようと試みた。










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