Gold Plum





第六章


対峙


〜みのり&涼介の場合〜





AIA




「みのりさん。

わたくしや雪姫様のように舞わなくてもいいのですよ。

あなたの叶えたい願いを想いながら舞えば、それでいいのです」

「お母様……」

 美都子から優しく語りかけられ、みのりは胸が熱くなった。

じわりと滲みそうになる涙を我慢するように俯き、胸元を掴んだ。


(私が叶えたい願いを想いながら……)


 本当に母や雪姫たちのように舞えなくてもいいのだろうか。

振り子のように気持ちが揺らぐ。


「言いことを言うマロ。さすが梅宮の当主だマロ」


 雪姫の嬉しそうな声に、みのりは顔をあげた。

梅田のみが、美都子を見る。


「美都子様、雪姫様がたいそうお褒めしております」


 雪姫に向けるような笑みを浮かべながら梅田のみが、雪姫の言葉を

代弁した。


「……ありがとうございます」


 美都子が先ほどよりも幾分か良くなった顔色で、微笑む。

それはまるで、雪姫の姿が見えないはずなのに見えているような

素振りだった。


(やっぱり雪姫と一緒に舞うなんて……)


 みのりは堂々と立ち振る舞う美都子の姿に怖気づいた。










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