Gold Plum
第六章
対峙
〜みのり&涼介の場合〜
七
AIA
「みのりさん。
わたくしや雪姫様のように舞わなくてもいいのですよ。
あなたの叶えたい願いを想いながら舞えば、それでいいのです」
「お母様……」
美都子から優しく語りかけられ、みのりは胸が熱くなった。
じわりと滲みそうになる涙を我慢するように俯き、胸元を掴んだ。
(私が叶えたい願いを想いながら……)
本当に母や雪姫たちのように舞えなくてもいいのだろうか。
振り子のように気持ちが揺らぐ。
「言いことを言うマロ。さすが梅宮の当主だマロ」
雪姫の嬉しそうな声に、みのりは顔をあげた。
梅田のみが、美都子を見る。
「美都子様、雪姫様がたいそうお褒めしております」
雪姫に向けるような笑みを浮かべながら梅田のみが、雪姫の言葉を
代弁した。
「……ありがとうございます」
美都子が先ほどよりも幾分か良くなった顔色で、微笑む。
それはまるで、雪姫の姿が見えないはずなのに見えているような
素振りだった。
(やっぱり雪姫と一緒に舞うなんて……)
みのりは堂々と立ち振る舞う美都子の姿に怖気づいた。
一つ前を読む GPの部屋に戻る 次を読む
|