Gold Plum





第六章


対峙


〜みのり&涼介の場合〜





BIE




「そうマロ。安易に黄金梅を頼っては駄目マロ」


 その顔に、涼介はひらめくものがあった。


(これって、もしかして……)


 以前にもこんなことがあった気がする。

あれは確か、最初に願いを一緒にしなければならないと語った時のことだ。


「試されてたんですよ。きっと」


 自然と口にでた言葉に、雪姫がいたずらっぽく口元を両手で隠した。


「ふふふ。正解マロ。さっきのはそなたらを試しただけマロ」


 つまり、やはりもう雪姫とは会えないということだ。

誰にも知られぬようこっそり肩を落とす。

横にいたみのりが口を開いた。


「雪姫、あなたと過ごした日々を忘れないわ。ありがとう」

「ありがとうございました」


 みのりの言葉を継ぐように礼を言うと、雪姫が穏やかな笑みを浮かべた。


「わらわもマロ。そなたらに会えて楽しかったマロ」


 身体が消えていく。

引き留めたい心と葛藤していると、野木崎がおどけた口調で告げた。


「本当にどうしようもなくなって困ったらまた黄金梅を咲かせますね。

その時はよろしくお願いします」


 最後は真面目な声で一礼する野木崎を見て、小越も諦めたのだろう。

長い吐息をした後、口を開いた。


「雪姫様……。本当にありがとうございました」

「対話の大切さを知ったそなたらは大丈夫マロ」


 かわいらしく首をかしげる雪姫。

まだ、まだもう少しだけ。

手を伸ばしかけたときだ。

小さな光とともに、雪姫は消えた。










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