Gold Plum





第六章


対峙


〜みのり&涼介の場合〜





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「え、もう? 徹底してるわね。

雪姫様がいなくなったらすぐなんて……」


 野木崎が頓狂な声をあげた。


「本当ですね。私たちのこと、まるで目に入ってなかったみたい」


 小越が、呆れを多分に含んだ野木崎の物言いに感心した様子で

相槌を打った。そこへ山波が割って入る。


「のみ様にはのみ様のお役目があるってことだろうさ」

「それはそうかもだけど、なんていうか余韻? 情緒? みたいな。

あー上手く言えないわ」


 野木崎の言いたいことはよくわかる。自分も同じ気持ちだ。

それは他の面々も一緒だったらしい。


「わかんなくもないです、私は」

「そりゃ俺もだ」

「俺もですよ」


 小越が同意すると、山波と涼介が同じように頷いた。

そんな大人たちを尻目に太一だけが梅田のみへ向かって大きく

手を振る。


「のみさん、またねー」


 子供は順応が早い、とはよく言ったものだ。

しかし梅田のみは雪姫のこと以外興味がないのだろう。

声が聞こえているはずの彼女は、一度も振り返ることなく去って

行った。










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