Gold Plum
第六章
対峙
〜みのり&涼介の場合〜
七
CI@
「え、もう? 徹底してるわね。
雪姫様がいなくなったらすぐなんて……」
野木崎が頓狂な声をあげた。
「本当ですね。私たちのこと、まるで目に入ってなかったみたい」
小越が、呆れを多分に含んだ野木崎の物言いに感心した様子で
相槌を打った。そこへ山波が割って入る。
「のみ様にはのみ様のお役目があるってことだろうさ」
「それはそうかもだけど、なんていうか余韻? 情緒? みたいな。
あー上手く言えないわ」
野木崎の言いたいことはよくわかる。自分も同じ気持ちだ。
それは他の面々も一緒だったらしい。
「わかんなくもないです、私は」
「そりゃ俺もだ」
「俺もですよ」
小越が同意すると、山波と涼介が同じように頷いた。
そんな大人たちを尻目に太一だけが梅田のみへ向かって大きく
手を振る。
「のみさん、またねー」
子供は順応が早い、とはよく言ったものだ。
しかし梅田のみは雪姫のこと以外興味がないのだろう。
声が聞こえているはずの彼女は、一度も振り返ることなく去って
行った。
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