Gold Plum

第六章


対峙


〜律子＆麻里の場合〜


二


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　満のことを思い出しているのだろう。

麻里が頬を染め、うっとりとした表情で明後日の方を見ている。

その姿はまさに恋をしている人間そのもので、

律子は思ったままを口にした。


「そんなことを考えている時点で満君に恋してますって

言ってるようなものだけどね」


　呟くように漏らした本音に、麻里が視線を戻してくる。


「で、でも私、満さんに敵だって……。

もう完全に嫌われてしまっていますし……」


　今にも泣き出してしまいそうな麻里に、焦りを覚える。


（嫌だ。恋する乙女って、情緒不安定になるんだったわ。

ずいぶん昔のことだからすっかり忘れてた）


　律子はティーカップをテーブルへ戻し、マイナス思考に

浸かりそうになっている彼女を浮上させるべく口を開いた。


「嫌いな人間を何度も助けたりはしないと思うけど？」

「そ、そうで、しょうか……？」

「ええ、そう思うわ」


　律子は、恐る恐るといったふうに仰ぎ視てくる麻里へ、

力強く頷いて見せた。そして、パンッと手を叩く。


「あ、そうよ！

この際だから今度会ったときに告白しちゃいなさいよ満君に」


　どう見たって２人は両想いだ。振られることはないだろう。

自分で出した妙案に満悦していると、麻里が素っ頓狂な声をあげた。