Gold Plum

第六章


対峙


〜律子＆麻里の場合〜


二


�I�H

「もしもしお義姉さん。律子です。今、大丈夫ですか？」


　スマートフォンの向こう側から義姉、狐塚直実（こづかなおみ）の

軽やかな声が聞こえてくる。

律子は、のんびりとした口調でどうしたの？　と尋ねてくる直実へ

世間話もせずに用件を告げた。


「実は折り入ってご相談が……」


　かたわらで麻里がじっと見つめてくる。律子は、強すぎる視線に

身じろぎながら、義姉との話を続けた。


「はい。あの友人が獣人の方を好きになったみたいで……」


　突然こんな話を聞かされてもどう反応していいか困るだろうな。

律子は内心で苦笑した。まさか麻里が義姉の話を聞きたいなどと

言い出すとは思いもしなかったのだ。耳に響く楽しげな直実の相槌に、

気づけば律子は愚痴のようなものを吐き出していた。


「傍（はた）から見たら相思相愛なのに、グチグチ言ってて……」

「そ、そんなことは……」


　麻里が恥ずかしそうにソファの上で縮こまっている。

スピーカーからは義姉が感嘆の声を出し、それでどうなったの？　と

続きを促してきた。