Gold Plum

第六章


対峙


〜律子＆麻里の場合〜


二


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「そうしてちょうだい。

15時に香夢異って喫茶店で待ち合わせることになったわ」


　聞き覚えのある店名にしばし逡巡し、麻里は首肯する。


「わかりました。ええっと、今何時なんでしょう？」


　余計なことを考えすぎて腕時計を忘れてきてしまった。


（あ、そうだ。スマホ見ればいいんじゃない？）


　思い立って鞄を探っていると、先に律子が答えてきた。


「今は……１１時ね。ちょっと時間は早いけどお昼にしましょうか」


　律子の誘いに麻里は喜んで手を打つ。


「いいんですか！　嬉しい！　誰かの手料理なんて本当に久しぶりなんです」


　自分で自炊しないわけではないが、

一人きりで食べる料理は結構味気ないのだ。

レパートリーなども気をつけようと努力はしているが、

どうしたって偏ってしまう。


（魚と肉と野菜って言ってもねえ……）


　一人で高い野菜を買うよりも、藤丘の惣菜コーナーで好きなコロッケなどを

買うほうが安上がりだったりもするし。

そもそも、ここのところおひとり様でいることさえご無沙汰な気がする。

麻里はここ数日のことを思い返し、くすりと肩を揺らした。