Gold Plum

第六章


対峙


〜律子＆麻里の場合〜


二


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「獣人の長？　あ、もしかして満君のことを言ってるのかしら？」


　律子の言に獣人は頷く。


「そうだ。獣人の長、狼谷満（かみやみつる）様のことだ！」


　改めて名前を告げられ、麻里の体温は一気に上昇した。


「ああ！　だから長って言ってたんですね」


　知らない人間の彼女と間違われるのは困るが、満ならば話は違う。


（ちょっと嬉しいかも……）


　両頬を手で覆い火照りを宥める。同時にだが、肝心なことを思い出した。


（ええっと、でも、私まだ告白してなくない？）



（どうしよう……）


　間違いはきちんと正さなくては。

麻里は一つ首を縦に振り、獣人たちを見つめた。


「ええと、はい。満さんは私の友人ですよ。

ここにいる律子さんもお友達ですし、ね？　律子さん」


　律子へ話を向けると、先にＴシャツのほうの獣人が目を剥いてくる。


「何？　お前も長の女？！　長が二股かけてるってことか？！」


　何やら話がおかしなことになってしまっている。


（と、とにかくちゃんと誤解を解かなくちゃ）


　心を落ち着かせるためスカートを握り締めていると、

律子の呆れきった声が道端へ響いた。