Gold Plum
第六章
対峙
〜みのり&涼介の場合〜
一
G
「ブッハ。アハハハ。
なんですかそれは? みのりお嬢様がそんなことをおっしゃったのですか?
それとも君のお兄さんが言っていたことを
みのりお嬢様が君に言ったのですか?」
膝をばしばし叩きながら尋ねてくる碧を、
涼介は信じられない心持で眺める。
(え? この人ってこういう人だったっけ?)
いつも沈着冷静、たまに怜悧な碧の豹変に戸惑う。
(というか、みのりさんに対しても失礼じゃないか?)
幼い頃から一緒に育ってきている人間たちだからこその発言
なのかもしれないが。
もう少し彼女気持ちを慮ってあげるわけにはいかないのだろうか。
(謎な人だなあ……)
長兄の雅秋も分かりにくい人間ではあるが、
自分の妻と子供に対する想いはストレートだ。
(普通好きな相手には点数が甘くなるものだよな?)
それなのに、眼前の碧は見るからに愉快げだ。
これ以上ないというほどみのりの発言がツボだったらしく。
笑い声を押し殺そうともしない。
(わかんなくなってきた……)
涼介は混乱し、頭へ手をやった。
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