Gold Plum

第六章


対峙


〜律子＆麻里の場合〜


二


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　狸たちと麻里の間に、彼女の想い人である狼谷満（かみやみつる）が

立ちはだかる。

ダメージジーンズに雪駄、杢グレーの七分丈Ｔシャツという軽装だ。

まるで散歩でもしにきたかのような出で立ちだが、

狸たちへ向けられた声音は鋭かった。


（いきなり銃を突きつけられたときはどうしようかと思ったけど、

これであの人たちの誤解もとけるわよね）


　律子は明らかに狼狽している狸たちを眺めながら、胸をなで下ろす。

再び、満の低い声が辺りに木霊した。


「もう一回聞く。何してんだ？」


　満の怒気に圧されたのだろう。狸たちが銃口を下げる。

サングラス越しからでもわかるほど、狸たちの顔は困惑しているように

見えた。満に邪魔をされるとは思っていなかったのかもしれない。

案の定、狸はたじろぎながらも意を唱える。


「なぜ！　なぜ止めるんです長！」


　それは悲痛な叫びのようにも聞こえた。その声に続けと言うように

青いＴシャツを着ている狸が、銃を持っている手を振りあげ喚き出す。


「こいつらがいるから！　こいつらのせいで長の心が乱されて

おられるのでしょう？　だから俺たちは、俺たちは！」


　照準が再び自分たちへ向きられる。律子は息を呑んだ。

満が一歩前へ出た。