Gold Plum
第六章
対峙
〜みのり&涼介の場合〜
一
H
「わ、笑わなくても!
少なくともみのりさんはそう信じてしまっていて、
それはそれは悩んでいるんですから!」
いらつき、咄嗟に碧へ反論する。
顔面の温度が上がったのはおそらく怒りだろう。
初めて恩人に感じてしまった不の感情に内心で戸惑いつつも、
涼介は碧を睨み据えた。
「そうですか。クックック。いや失礼しました。
ですがさすがはみのりお嬢様ですね。とんだ勘違いですよ」
碧が心底楽しげに全身を震わせる。
何がそんなにおかしいのだろう。
自分には少しもわからないが、とりあえず碧の言葉に涼介は心から安堵した。
「そうですか! あーよかった! ほっとしました!
……でも、じゃあ、高松さんっていったいどこの家の方なんですか?
梅八家だと騙ってまで何をしたいんでしょうか……」
顎に手をあてて考え込むと、碧が愉快げな声音で語り出す。
「彼は梅八家ではありませんよ。
お嬢様が忠臣様の隠し子だと勘違いをなされたのなら、
君のお兄さんも彼のことを梅八家の人間だとは言っていなかったの
ではないですか?」
碧の問いに涼介は唸る。
「それが、兄が『腐っても梅宮の血族だ』と言っていたらしいんです。
それで妙な思い違いを……」
みのりが誤解をしたのか、それとも長兄がなんらかの理由で嘘を吐いたのか。
(なんか面倒な話になってるなあ)
腕を組み首をかしげていると、碧がぽんと手を打った。
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