Gold Plum
最終章
再生
〜みのり&涼介の場合〜
一
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あれから5日が過ぎた。
涼介は5日ぶりに連絡をよこしてきたみのりの誘いで、
大学の校門前に立っていた。
「昼休みに会いたい」という簡素な文章に、それでも涼介の心は躍る。
欲を言えば告白の返事が欲しいところだが、
待つと言った以上、無理強いはできない。
涼介は暇つぶしに持ってきた文庫本を閉じ、快晴の空を見あげた。
あの日、みのりは付き添い護衛役の梅田碧と紅を伴って
病院へと向かっていった。
涼介は太一とともに長兄の車で自宅へと戻った。
太一を家へと送り、その後はずっとみのりの報告を待った。
野木崎と麻里は満たちと何やら話し込んでいたが、飛田の車に乗り込んだ。
山波は芽衣子が当然のように飛田の車に乗り込んだことに舌打ちしていたが、
肩を竦めてそのまま帰路へと着いたようだった。
満以外の獣人たちも全員解放され、満の命令に従い家に帰っていった。
車に乗り込む寸前に見た黄金梅の実は変わらず黄金色に輝いていたが、
自分自身にも周囲の人間にも、特に変わったところは見られなかった。
美都子の怪我は思った以上の深手であったらしい。
そのことをみのりからの連絡で知り肝を冷やした。
何事もなくて本当によかった。
何事も、と言えば、太一は花びらを家へ持って帰ったが、
あれからどうしたのだろうか。
無事祖母に見せられたのだろうか。連絡がないので今は願うしかない。
(一応、今日辺り連絡してみるかな)
上手くいかず落ち込んでいたら、と思いためらっていたのだが、
それならそれで放っておくわけにはいかない気がする。
青空を眺めながらつらつらと考えを巡らせていると、
前方から弾んだ声がした。
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