Gold Plum
最終章
再生
〜みのり&涼介の場合〜
六
IE
(なんで今その笑顔?)
くるくる変わる表情に戸惑っていると、みのりの顔がまた変化する。
「あ、涼介は他のが良かった?」
上目遣いで尋ねてくるみのりに、慌てて首を左右に振った。
「俺もバニラアイスが食べたかったから大丈夫だよ」
本当に食べたかったのはバニラアイスなのだ。
わかって欲しくて微笑んでいると、割って入るように店員がやってきた。
「お待たせしました〜。バニラアイスになります」
バニラアイスを目の前に置いていく。
「ありがとうございます」
みのりが丁寧に礼を言うが、店員は特に何も言わず踵を返した。
お昼時は忙しいのだろう。
みのりががっかりしていないといいが。
思ってちらりと視線を前に移すが、
みのりが見ているのは目の前のバニラアイスのみだった。
(気にしすぎか)
内心で苦笑してスプーンを手に取る。
「さ、食べよう」
「ええ」
促してアイスをみのりのほうへより近づけると、
みのりが嬉しげにスプーンでアイスをすくった。
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