Gold Plum





最終章


再生


〜みのり&涼介の場合〜





II




「あ、そういえば、私、お金……」


 みのりは、財布をしまう涼介を見て、鞄へ手をやった。

しかし、涼介がそれをやんわりと押し返してくる。


「いらないよ。

デートなんだから。たまにはかっこつけさせてくれよ」

「いいの? それじゃ、その、ありがとう。ご馳走様でした」


 申しわけない気持ちもあるが、ここは涼介の気持ちを汲むことに

しよう。みのりは鞄から手を放し、頭を下げた。


「どういたしまして」


 涼介が嬉しそうに微笑みながら、外へ出た。そして当たり前の

ように扉を開けて待っていてくれる。

みのりは、彼の優しさに胸を高鳴らせながら外へ出た。

 入口付近で碧たちを待っていると、風が頬をなでる。

火照った顔には丁度いい。


「紅、満足したかい?」


 碧が店から出てくると同時に紅へ問いかけた。紅が小さく頷く。


「それじゃ、今度は助手席に座るんだよ。わかったね」

「……わかった」


 渋々ではあったが紅が首肯した。側近なりの気遣いなのだろうか。

碧は紅の手を取ると、先に行っていますね、と言い駐車場へ

歩き出す。

碧たちがいなくなったとたん、変な緊張感がみのりを襲ってきた。










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