Gold Plum
最終章
再生
〜みのり&涼介の場合〜
六
II
「あ、そういえば、私、お金……」
みのりは、財布をしまう涼介を見て、鞄へ手をやった。
しかし、涼介がそれをやんわりと押し返してくる。
「いらないよ。
デートなんだから。たまにはかっこつけさせてくれよ」
「いいの? それじゃ、その、ありがとう。ご馳走様でした」
申しわけない気持ちもあるが、ここは涼介の気持ちを汲むことに
しよう。みのりは鞄から手を放し、頭を下げた。
「どういたしまして」
涼介が嬉しそうに微笑みながら、外へ出た。そして当たり前の
ように扉を開けて待っていてくれる。
みのりは、彼の優しさに胸を高鳴らせながら外へ出た。
入口付近で碧たちを待っていると、風が頬をなでる。
火照った顔には丁度いい。
「紅、満足したかい?」
碧が店から出てくると同時に紅へ問いかけた。紅が小さく頷く。
「それじゃ、今度は助手席に座るんだよ。わかったね」
「……わかった」
渋々ではあったが紅が首肯した。側近なりの気遣いなのだろうか。
碧は紅の手を取ると、先に行っていますね、と言い駐車場へ
歩き出す。
碧たちがいなくなったとたん、変な緊張感がみのりを襲ってきた。
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