Gold Plum





最終章


再生


〜みのり&涼介の場合〜





H




 みのりが扉へ手を伸ばすと同時に声がかかる。


「あ、そうだ、みのり!

涼介君に会ったら雅仲さんに今日集まろうって

伝えておいてくれないか?」

「え? はい、わかりました?」


 みのりは兄からのことづけに驚きつつ振り返った。

忠信が嬉しそうに笑みを浮かべている。

以前から雅仲と仲が良かったのだろうか。

みのりは初めて知る兄の交友関係に戸惑いながらも了承した。


「お願いするよ」


 やはり兄との会話は慣れない。

みのりが内心で苦笑していると、美都子から名を呼ばれる。


「みのり、気をつけて行ってくるのですよ」

「はい。いってきます」

「「いってらっしゃい」」


 みのりは美都子と忠信から同時に返ってきた言葉に泣きそうに

なった。今までこんな温かみのある挨拶を交わしたことはない。

それが当たり前のようにできていることがとても嬉しい。

みのりは、外に出て空を見上げた。


(雪姫、ありがとう)


 あなたのおかげで、ずっと焦がれていた普通の家族にようやく

なれた気がする。

 みのりは雪姫へ感謝を告げた。そしてすでに到着している車に

乗り込み、涼介との待ち合わせである果杷(かべ)駅へと向かった。










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