Gold Plum
最終章
再生
〜みのり&涼介の場合〜
二
H
みのりが扉へ手を伸ばすと同時に声がかかる。
「あ、そうだ、みのり!
涼介君に会ったら雅仲さんに今日集まろうって
伝えておいてくれないか?」
「え? はい、わかりました?」
みのりは兄からのことづけに驚きつつ振り返った。
忠信が嬉しそうに笑みを浮かべている。
以前から雅仲と仲が良かったのだろうか。
みのりは初めて知る兄の交友関係に戸惑いながらも了承した。
「お願いするよ」
やはり兄との会話は慣れない。
みのりが内心で苦笑していると、美都子から名を呼ばれる。
「みのり、気をつけて行ってくるのですよ」
「はい。いってきます」
「「いってらっしゃい」」
みのりは美都子と忠信から同時に返ってきた言葉に泣きそうに
なった。今までこんな温かみのある挨拶を交わしたことはない。
それが当たり前のようにできていることがとても嬉しい。
みのりは、外に出て空を見上げた。
(雪姫、ありがとう)
あなたのおかげで、ずっと焦がれていた普通の家族にようやく
なれた気がする。
みのりは雪姫へ感謝を告げた。そしてすでに到着している車に
乗り込み、涼介との待ち合わせである果杷(かべ)駅へと向かった。
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