Gold Plum
最終章
再生
〜みのり&涼介の場合〜
二
I
久しぶりの休日。
待ちに待ったこの日になって、涼介は朝からそわそわし通しだ。
いつもより清潔そうに見えるシャツとスラックスを履き、
髭を剃って髪をセットしていると、聞き慣れた声がして扉が開かれた。
「おじちゃま、起きて!」
由真の声に涼介は笑顔で応じる。
今日もかわいらしい白の水色のワンピースだ。
「由真か。おはよう」
洗面所からでて由真を迎えると、
由真がぽっかりと口を開いているのが見えた。
「おじちゃまが起きてる! どうしちゃったの?」
本気で驚いているらしい由真に苦笑する。
「今日は大事なご用があるんだよ」
頭へぽんと手を置くと、由真がそれをどけながらなんだ、
と口を尖らせた。
「じゃあ海にはいけないの?」
「海に行きたかったのかい?」
涼介の問いに、由真が首を左右に振る。
「ううん。でもおとうちゃまがつれていってくれるんだって!
みんなでいけると思ったのになあ」
残念そうに眉根を下げる由真を見て、涼介は少女の顔を覗き込んだ。
「そうかあ。よかったね、由真。おとうさま、お休み取れたんだ」
あの堅物市長の長兄が休暇を取るとは。
長兄もずいぶん変わったものだ。
「うん!」
由真が嬉しげに頷く。
「よし、じゃあ、早くご飯食べにいかないとな」
「そうだよ、おじちゃま! 早く早く!」
手を引いてくる由真に肩を揺らしながら、涼介は自室をでた。
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