Gold Plum





最終章


再生


〜みのり&涼介の場合〜





I




 久しぶりの休日。

待ちに待ったこの日になって、涼介は朝からそわそわし通しだ。

いつもより清潔そうに見えるシャツとスラックスを履き、

髭を剃って髪をセットしていると、聞き慣れた声がして扉が開かれた。


「おじちゃま、起きて!」


 由真の声に涼介は笑顔で応じる。

今日もかわいらしい白の水色のワンピースだ。


「由真か。おはよう」


 洗面所からでて由真を迎えると、

由真がぽっかりと口を開いているのが見えた。


「おじちゃまが起きてる! どうしちゃったの?」


 本気で驚いているらしい由真に苦笑する。


「今日は大事なご用があるんだよ」


 頭へぽんと手を置くと、由真がそれをどけながらなんだ、

と口を尖らせた。


「じゃあ海にはいけないの?」

「海に行きたかったのかい?」


 涼介の問いに、由真が首を左右に振る。


「ううん。でもおとうちゃまがつれていってくれるんだって!

みんなでいけると思ったのになあ」


 残念そうに眉根を下げる由真を見て、涼介は少女の顔を覗き込んだ。


「そうかあ。よかったね、由真。おとうさま、お休み取れたんだ」


 あの堅物市長の長兄が休暇を取るとは。

長兄もずいぶん変わったものだ。


「うん!」


 由真が嬉しげに頷く。


「よし、じゃあ、早くご飯食べにいかないとな」

「そうだよ、おじちゃま! 早く早く!」


 手を引いてくる由真に肩を揺らしながら、涼介は自室をでた。










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