Gold Plum
最終章
再生
〜みのり&涼介の場合〜
二
IB
「そうよ、あなた。
恋愛は自由なんだから。そういう堅苦しいのは良くないわ」
「まあ、そうだが……」
美紀の言に頷きながらも、やはり不満なのだろう。
眉根を寄せる。
「姉さん。兄さんだって、そういきなり変われはしませんよ」
雅仲が美紀へストップをかけると、美紀が小さく肩を落とした。
「そりゃそうだけど。ねえ、久隆ちゃん」
斜め向かいで手足をばたつかせている久隆へ微笑みかけると、
久隆がだーっと声をあげる。
赤ん坊に言ってもわかるわけないと思うのだが。
幼い甥っ子まで巻き込むことになるとは。
どうにも決まりが悪く頬を掻いていると、雅仲の妻、依子が雅仲を見た。
「変わろうとしてるからこそ、言いたいのよ、雅仲君」
雅仲へ進言する依子に、雅仲が首をかしげる。
「そういうもんなのか」
「そういうものよ」
依子が力強く頷くと、辺りに沈黙が下りた。
重い空気ではないが、皆自然と長兄へと視線を移す。
一同黙って彼の一言を待っていると、雅秋が両手を合わせた。
「まあいい。とにかく腹ごしらえだ。――いただきます」
「いただきます!」
雅秋の言葉を合図に食事にかかる。
今日のメニューは和食だ。
白いご飯にワカメと豆腐の味噌汁、
鮭の塩焼きにほうれん草のお浸しにだし巻き卵。
刻み込み綺麗な円柱に型づいた柴漬けも小皿に盛られている。
(うまい!)
涼介は味噌汁を一くち口に含んで内心で叫ぶ。
温かな塩味のある飲み物が五臓六腑に染み渡った。
(いくらでも食えそう)
これぞ日本の朝ご飯。涼介はご機嫌な気分で食事を口へと運び続けた。
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