Gold Plum
最終章
再生
〜みのり&涼介の場合〜
二
IC
食事を終えてしばらく10分ほど経った頃。
食後のお茶を飲んでいると、食堂の入り口が開けられ文兎が入ってきた。
「おはようございます」
文兎が最敬礼で雅秋に挨拶する。
「ああ、悪いな休日に」
雅秋に声をかけられ、顔をあげた文兎がふるふると首を横に振った。
「いいえ、暇でしたから」
恐縮しきった表情で答える文兎に、涼介は尋ねる。
「文兎さん? 吉田さんは? しかも休日になんでまた」
「運転手を仰せつかりまして」
しゃしこばった表情で律儀に応じてくる文兎を前に、
涼介は吐息とともに雅秋を見遣る。
「なるほど……」
自分で運転すればいいものを。
と思いはするが、思う存分由真を構いたいのかもしれない。
それならそれもいいか、と一人頷いていると、由真が声をかけてくる。
「ふみとくんね、ご本読むのじょうずなんだよ」
由真の言葉に涼介は微笑む。
「そうかあ」
「わたしおとうちゃまが読んでくれるのが大好きだけど、
ふみとくんやおじちゃまが読んでくれるのも好きよ」
おしゃまな由真の言葉に涼介は一抹の寂しさを覚えた。
「ありがとう、由真」
大の字がとれちゃったなあ、と内心で呟いていると、
何も知らない由真がにっこりとしてお辞儀をしてきた。
「ふふふ、どういたしまして」
やっぱり可愛い姪っ子。
自分にももうそれよりも大事な存在ができてしまったけれど、
やっぱりこの娘(こ)には敵わない。
毒気を抜かれほっこりしていると、雅秋が話を転じてきた。
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